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2013-12

「北海道ホットケーキミックス」開発ストーリー

 

北海道産小麦粉を使用した当社のホットケーキミックス開発のスタートは2005年。その後2006年に「北海道産小麦使用 ホットケーキミックス」(下記に当時のパッケージデザイン)の商品名で商品化したものの、製造ラインの老朽化の問題があり、採算性などを検討した結果改修工事は行わないこととなり、一度のみの生産で終売という、開発に携わった者としてはかなり心残りなデビューでした。(幻のホットケーキとも云われています)

しかし、終売後もお客さまや関係者から商品の復活を望む多くの声が寄せられました。このことを受け、4年後の2010年に当社のオーナーより、もう一度北海道産小麦のホットケーキミックスを商品化しよう!との第一声が上がり、再度開発に着手する運びとなりました。この年は、北海道産小麦の主力品種が「ホクシン」から「きたほなみ」に切り替わり始めた直後といってよい2年目。このことに伴い、ホットケーキミックスのベースとなる小麦粉は「きたほなみ」への変更が必至となりましたが、この小麦粉の特性はまだ検証初期の段階でした。

北海道産小麦粉を使用した新たなホットケーキミックスの開発をスタートさせて最初にぶつかった難題は、同じ中力系の小麦であってもその特性の大きな違いでした。同じ配合で「ホクシン」を「きたほなみ」に置き換えて試作・試食してみましたが、ネチャネチャとした、まったく好ましくない食感となってしまったのです。「きたほなみ」の小麦粉の特性を徹底的に調べると同時に、使用する副原料の選定や配合比率などの大手術が必要な状況となりました。北海道産小麦は“もちもち”とした食感が大きな特徴ですが、焼き方をちょっとでも失敗すると口の中で団子状になってしまい、好ましい食感となりません。そこで目標をホットケーキ本来の望ましい食感である“ふんわり”“しっとり”“口溶け良”に設定して、何度も試行錯誤を繰り返しました。

またこの年はアルミニウムを多く含む食品を多く食べる一部の小児で、摂取の許容量を超える可能性が報道された年でもありました。小さいお子さんにも安心して食べていただけるよう、ホットケーキミックスには必需品であるベーキングパウダーはアルミニウムの入っていないもの(いわゆるアルミフリーの膨張剤)を選定・検討することとしました。

数カ月の開発期間を経てなんとか理想に近いものが出来上りつつある時期に、社内にホットケーキミックス開発の女性チームをつくり、そのチームで候補を絞り込み、その後全社員の試食評価を以って配合の確定に至りました。

続いてチームはパッケージデザインに取り掛かり、2社によるプレゼンを受けて1アイディアを選択しました。パッケージ裏面には食べ方の提案を写真付きで載せることに決めて、そのレシピ開発も同時に進行させました。パッケージに載せる写真撮りの際はスタジオにも押しかけるなど、パッケージの制作側と意見を交わした回数は数えきれないほど。こうして完成したパッケージは、料理本をイメージした平面的なデザインが斬新だと社内でも好評を得ることができました。ご協力いただいた皆さま、その節は本当にありがとうございました。

こういった道のりを経て「北海道ホットケーキミックス」は2012年7月に完成。

販売直後から皆さまに好評をいただき、販路も徐々に拡大。札幌や東京などの北海道産食品のセレクトショップ、北海道内に20数店舗を展開するスーパーマーケットの厳選商品売場、札幌市内のこだわりの食品店などで販売され、おかげさまで「北海道ホットケーキミックス」のおいしさや個性が口コミでどんどん広がっています。

味がしっかりとついたホットケーキミックスなのでお値段も少し高めですが、休日のランチなど「自分にご褒美をあげたい」、「少しリッチに家族と過ごしたい」という気分になった時にご利用いただくと、きっと満足していただける商品であることを確信しています。

2013年12月13日  横山製粉株式会社 R&D 部長 川原修司

 

次回、北海道ホットケーキミックスの楽しみ方を提案したいと思います

(1月後半から2月を予定)

キャリナリー製菓調理大阪校との企業プロジェクト

この「企業プロジェクト」とは、キャリナリー製菓調理大阪校が学生に対して、技術は勿論のこと、考える力・創造する力・人に伝える力を身に付けさせるために、関連する様々な業界より講師を招き、あるテーマに基づいた商品開発やメニュー提案の課題に取り組むという同校独自のカリキュラムの一貫です。

この度、その企業プロジェクトに当社(横山製粉)を選んでいただきました。

そこで当社としては、製菓・製パン本科、カフェ総合本科、調理総合本科の2年の学生方に“北海道産小麦と取り組んだ商品”をテーマにしたコンテストを開催させていただく運びとなりました。

このコンテストに参加された学生は、与えられたテーマに基づき、何度も試作を重ね、その後一次審査(9月2・3日)、最終審査(9月17日)を受けられました。最終審査では「盛り付け」「味覚」「企画力」「プレゼン力」「オペレーション」を評価され、各部門それぞれに大賞と特別賞が決まりました。

受賞者及び受賞作品については以下の通りです。

 

<製パン部門>

【大賞】製菓・製パン本科2年生 滝上真唯 さん

受賞作品 「2色クリームのコッペパン」

2色クリームのコッペパンレシピへ

受賞者コメント:全粒粉は健康に良いと聞き、健康という言葉から大豆を思い浮かべました。抹茶で色どりを良くし、きなこや豆乳を使っているので肌を綺麗にするイソフラボンやお腹の調子を整える食物繊維が入っているので女性にうれしいパンです。

 

【特別賞】製菓・製パン本科2年生 沢田真衣 さん

受賞作品 「おいもパン」

おいもパンレシピへ

受賞者コメント:いもの美味しさそのままに!見た目も味もさつまいも!一口サイズで食べやすい!口溶けをよくするためにでん粉を配合して、中のさつまいももこすことでよりなめらかな食感に仕上げました。

<料理部門>

【大賞】調理総合本科2年生 吉岡裕樹 さん

受賞作品 「サーモンとホタテのパイ包み焼き」

サーモンとホタテのパイ包み焼きレシピへ

受賞者コメント:全粒粉を使用した冷凍パイというものを商品としてできるのではないかと思い、そこからパイ料理が浮かびました。サクサクとした食感で、サーモンとホタテの相性も良く、ソースはヨーグルトをベースにしており、あっさりめなので女性でも食べやすくなっています。

 

【特別賞】調理総合本科2年生 木田優輔 さん

受賞作品 「鯖のフリット和風あんかけ」

鯖のフリット和風あんかけレシピへ

受賞者コメント:日本人の誰もが知っている食材を、少し違った調理方法をすることで注目を集め、和の食材に洋の調理法を用いて、和と洋の融合で一味違った料理を楽しんでいただきたいです。

 

今回のコンテストに際しまして、参加された学生ならびに関係者の方々お疲れさまでした。

当社商品をベースとして様々な創意工夫をしていただき、非常に感銘を受けた次第です。

受賞者をはじめ、今回惜しくも賞を逃された学生さんについても、今後のそれぞれの道でのご活躍をお祈りしております。

 

横山製粉は、今後もこういった取り組みに対して積極的に参加・協力致します。

 

横山製粉株式会社 R&D グループリーダー 小野 秀樹

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